さこうのはてなブログ

大阪で働くバーテンダーの私小説的な文芸ブログ

詩は働く者のために

「ネジが地面に落ちた/この残業の夜に」

https://bunshun.jp/articles/-/66497?page=2

 

政治家がどうなろうが知ったことじゃない。
新興宗教がどうなろうが知ったことじゃない。
ジャニーズがどうなろうが、吉本がどうなろうが、自分にとってはどうでもいい。

ただ書こう、ネジのために。

 


去年10月カラオケバーを閉業した。

最終営業日の翌日は疲れ切っていて夕方にはベッドにはいっていた。目を閉じると幻聴が聞こえた。疲れているときは特に強く幻聴が聞こえる。
眠りに落ちるまでじっと待っているとこの世から旅立ってしまった老猫ビビが浮かんだ。そしてビビのことが胸を離れないまま彼の夢をみた。ビビ。元嫁が名付けた雄猫。
夢のなかではふさふさな毛並みだった頃のビビが浜辺の柔らかな砂のうえで朝日を浴びその毛をなびかせていた。
深夜2:00頃目覚めてほろほろ泣いた。元嫁に頼み込んで引き取った大事な猫だった。どうにか長生きさせてあげたかったがぼくにはできなかった。さびしかった。くやしかった。自分の店を閉じたことに想いを馳せる暇もなくただただ心細かった。

ビビが去って猫はアル、ルナの2匹になった。この2匹は兄妹だ。まだまだ若く元気なはず…だがどうもその兄のアルの調子がおかしい。店の退去作業に向かいたかったがとんでもなく嫌な予感がしたので病院へ連れて行った。
レントゲンの結果異物を食べて胃と腸に詰まっていることが分かった。開腹手術になる。一週間は入院するだろう、費用は30万を超すだろうとのこと。きっとビビが亡くなったストレス、ぼくが家にいないストレスがたまったのだろう。
ぼくのせいだと思ったが今は悔やんでる暇がない。それがたとえ100万と言われても手術しないなんて選択肢はない。

とりあえずお金を、どうにか手術代を捻出せねば。

 

2023/11/12
で、バイトの面接に行った。新店のオープン日が控えているから早朝から昼過ぎで終わる珈琲屋を選んだ。
全てはアルの入院費のためだがただで転ぶわけにはいかない。流行店のレシピを手に入れ我がの店でやるだろうカフェ営業に技術やノウハウをも活かそう、そういう魂胆があった。ミッションインポッシブル。
ピンチをチャンスにせねば。

面接後帰宅するとすぐ電話がかかってきていつから来れるのかという話になった。受かったらしい。その後すぐレシピを全て送信してくれた。そんなのでいいのか?

簡単にミッションインポッシぶってしまった。

 

深夜に焼肉を食べた

友が鉄板のうえに肉を並べていく

一枚ずつ焼いて食べたがってた元嫁が頭に浮かんだ

いつもそうだ

ぼくは残像しか愛せない

 


2024/01/8
カラオケバーの売上げ、新店舗での売上げ、受けた融資の総額、バイト代、その他副収入を計算すると金銭的な壁はなんとか乗り越えているようだった。猫のためとイベントをうったときに来てくれた方々、寄付頂いた方々に深く感謝する。その後アルの調子は良好、今は毛並みもふさふさで毎日快適そうに過ごしている。


大事も過ぎればなにも眠る時間を削ってまでバイトしなくてもよかったなと思うが身体を忙しくしなければネガティブになっていたしともあれこれでよかったのだ、とまた思い直すことにしてバイト先に辞めたい旨伝えた。意外やあっさり承諾してくれた。もう来なくても問題ないとのこと。
開放的になって軽く飲んだあとは一日中眠った。泥のように眠った。

 

2024/01/11
今宮の十日戎が4年ぶりに屋台が出たらしいので行きたいと思っていた。水商売の人間は残り福がいいとのことで最終日に行く予定だったがこの日忙しく時間通りに閉店できなかった。営業後にダメ元で行ってみたもののやはり全ての屋台営業が終わっていた。お参りもできなかった。ただこの日の売上はご新規様だけでかなりあがっており、商売の神様に会いにいく必要はない、神様からうちに来てくれたのだと思うことにした。


2024/01/16
いつもポメラを開いてなにか書きはじめたら誰かが来店してくれていた。いつもこんな感じだったら良いと思っていたが今日は少し寒すぎたようだ。馴染みの方が帰ったあとは綺麗さっぱり誰も来なかった。


そろそろこのエントリーもおしまいにして店を片付けて帰ろう。

 

では